【尾鷲】三重県尾鷲市古戸野町の県立尾鷲高校書道部2年、太田來更さん(16)が、18―20日に津市内で開かれた「第45回みえ高文祭」書道部門で最高賞の特選に輝いた。太田さんは「昨年は取れなかった賞。より一層うれしい」と喜んでいる。
同部門に出品された高校生の全100点から上位5点に選ばれた。同校では2年ぶり7度目。太田さんの受賞作は、複雑な筆路が特徴の明末清初の書家、傅山の臨書で、行草体の21文字を3行書きに収めた。用紙は縦170センチ、横67センチ。
太田さんは母の勧めで小学2年で市内の書道教室「村田塾」で習字を始めた。3年から書道にいそしんでいる。多くの作品に触れる中で、傅山の独特な字体や雰囲気に魅了された。全体のバランスや筆圧の強弱を再現するのが難しいという。
今回の出品に向けて6月ごろから準備を進めてきた。半紙に一文字ずつ何度も練習し、本番と同じサイズの書道用紙にも100枚近く書いた。渾身(こんしん)の一枚は「一文字目はうまく書けなかったが、全体的にバランス良くまとめられた」と振り返る。
8月に津市内で開かれた「県書道連盟展」などを訪れ、トップレベルの表現を学んだことも作品に生かせたという。顧問の岸本一哉さんは「墨の潤滑が効果的に表現され再現率が高い。自分の字体を出さず、我慢して書けている」と評する。
来年7月に香川県で開催される「全国高等学校総合文化祭」への出展も決まった。太田さんは3月末の完成を目指し、来月にも始動するとした上で「全国に出品するのは初めて。良い作品を書いて入賞できるよう頑張りたい」と意気込んだ。