昨年5月、三重県鈴鹿市でブラジル国籍の工員アイハラ・アルメイダ・ロゼリさん=当時(46)=が殺害され、所持品が奪われた事件で、強盗殺人罪などに問われた夫ら3人の裁判員裁判が29日、津地裁(出口博章裁判長)であった。検察側は夫に無期懲役を求刑。長女の内縁の夫には懲役20年を、長女には同15年を求刑した。判決は12月16日に言い渡される。
強盗殺人罪に問われたのは夫でトラック運転手プラテス・アルメイダ・デメルソン被告(50)と長女の内縁の夫で無職ハコザキ・ルカス・ハルユキ被告(24)。強盗殺人ほう助罪に問われたのは長女で無職アイハラ・アルメイダ・キンベリ・カオリ被告(26)。
検察側は論告で「おので少なくとも11回切りつけ、犯行は残虐で極めて悪質」と強調。「デメルソン被告が犯行を計画して実行した。動機も身勝手で、反省も全く感じられない」と指摘した。
ルカス被告については「従属的な立場」としつつ「被害者のかばんを持ち去る重要な役割を果たした」と説明。カオリ被告については「2人の逃走を助けるなど、犯行を手伝った」と指摘した。
最終弁論で、デメルソン被告の弁護人は「ルカス被告が手おので被害者を切りつけ殺害した」と述べ、殺意を否定。強盗致死罪が成立し、懲役20年が相当と主張した。
ルカス被告の弁護人は「被害者を殺害することは知らなかった」として、強盗致死ほう助罪にとどまり、懲役7年が相当と主張。カオリ被告の弁護人は「犯罪を手助けする意志が全くなかった」として、無罪を主張した。
起訴状などによると、デメルソン被告とルカス被告は昨年5月3日、ロゼリさんが住むアパート付近で、ロゼリさんをおので殺害し、かばんなどを強奪。カオリ被告はロゼリさんの帰宅を知らせるなど、2人の犯行を助けたとされる。
また、デメルソン被告は同月4日、ロゼリさん名義のキャッシュカードを使用してコンビニATMで現金計139万円を引き出したとして、窃盗罪にも問われている。