伊勢新聞

2024年10月25日(金)

▼投票日まで残り2日と迫った衆院選県内情勢は、おおむね全国の傾向を反映させているようだが、議席に結びつくかどうかはまた別の問題なのだろう。本紙企画『攻防の裏側・下』は、それを左右する野党間連携が進まぬ現状を報告していた

▼国民民主党の玉木雄一郎代表が19日の四日市市入りで比例代表での支持を訴えたものの、立憲民主党の小選挙区候補には言及しなかった。1カ月前の津市では、榛葉賀津也国民幹事長が立民候補支持を呼びかけた

▼中央の政治情勢は複雑だが、連合三重が立民候補推薦を出したのに国民系の一部労組は推薦を見送ったのは、原発を巡る意見の違いなどが背景にあるという

▼労働組合の中央組織は離合集散を繰り返し、それによって支持政党も対立してきた。官公労中心の旧総評系は旧社会党、民間労組中心の同盟系は旧民社党を支持し、労組の中央4団体が連合に統一されてからも、対立は持ち込まれた

▼加えて県内では、連合中央の支持政党の違いとは別に、エネルギー政策など主要施策で選挙で“股裂き”状態になることが珍しくなかった。統一候補でも、候補者の発言一つで激論になった

▼日本の労組は企業内組合のため、経営側と労組が企業存続を同一目標に掲げる。連合三重会長が中電労組出身で、より複雑になっていることがうかがえる

▼旧同盟系が支援する旧民社党は、県議会で旧社会党と同一会派を組みながら、しばしば自民党と同調した

▼立民、国民と政党が分かれた現在、野党連携は難しくなったと言わなければなるまい。