【尾鷲】三重県尾鷲市中央町の世古米穀店で働く世古大介さん(39)が今月、コメの専門知識を認定する制度「お米マイスター」で最高位「五ツ星」を取得した。店舗の業務にとどまらず、「お米を通じて地元の食や文化を発信したい」と意気込む。
試験を実施する一般財団法人・日本米穀商連合会によると、五ツ星は三ツ星の取得者のみが受験できる。筆記以外に技能と面接を伴う。全国で554人、県内では5人が保有し、東紀州地域に限ると、世古さんが初の取得者となった。
平成24年に家業に入り、コメのブレンドや精米技術の勉強に励んできたという世古さん。平成29年3月、米穀店の勤務歴5年以上が受験できる三ツ星に合格した。「三ツ星は教科書的な内容。初歩的な問いが多かった」と振り返る。
今年に入って徳島県の親しい同業者から五ツ星挑戦の一報を受け、自身も受験を決意した。試験は7項目あり、うち精米と炊飯、ブレンドの3項目は、事前課題やリポートを基に面接がある。約1カ月間、コメの基礎から学び直したという。
最も苦労したのは、自らテーマ設定して完成させるブレンド米。連合会から事前に送られた基準米を参考に2、3品種を混ぜて作り上げる。味や品質など、表現の幅を広げられるといい、「足し算にもかけ算にもなる難しさがあった」と話した。
試験後の手応えでは合否は分からなかったというが、実際に認定証が届くと「テレビで活躍しているマイスターと同じ資格なんだ」と喜びをかみしめた。五ツ星の取得者として「もっと頑張らないと。身の引き締まる思い」と力を込めた。
今後は、コメと地元食材を合わせた楽しみ方の紹介や、他事業者とのコラボで市の魅力向上を目指す。五ツ星について「お米の産地ではない東紀州地域で、お米を通じた食のアピールができるチャンス。どんどん使っていきたい」と語った。