伊勢新聞

<裏方から見た大学野球①>皇學館大・山本さん 「頭脳」でチーム支える学生コーチ

【皇學館大の森本監督(右)と情報共有する山本学生コーチ】

大学野球の特徴的な役職の1つに「学生コーチ」がある。選手と指導陣の橋渡し役に加え、皇學館大(伊勢)硬式野球部の場合、練習メニュー、チーム方針なども学生主体で決める。4年生の山本雄一郎さん(23)=山口・宇部鴻城高出身=は高3の夏、全国高校野球選手権に出場した経験も生かして2022年春から24年春のシーズンまで学生コーチの中心的存在を担った。野球部の「頭脳」を長く務めた4年生に今年のチームへの思いなど聞いた。

 大学に来た理由は高校野球の指導をしたいという志から。小学時代から同じチームだった投手と(高3の)19年夏、甲子園に出たことで選手として未練は無い、一度は野球と違う道をと思って就職したのですが、指導者として甲子園に戻りたいという気持ちが強くなり、21年春に入学しました。

(同高野球部監督で皇學館大出身の)尾崎公彦監督からは「気持ちが強いうちに行動しろ。教員になりたいんだったら皇學館に行きなさい」と。普段厳しい監督なのですが「おまえはそっち(指導者)向きかな」と言われたことはうれしかったです。

大学では野球部入部のときから「支える立場でやる」と伝えていた。1年秋で先輩の学生コーチが引退し、2年春から先頭でチームを引っ張ることになりましたがやりにくさを感じたことはありません。

上の学年が下の学年のやりやすい環境をつくる。これが皇學館大のいい伝統。森本進監督も基本学生にゆだねてくださる。監督の選手の見極めの正確さも見習うことが多かったです。

今年春までメインで学生コーチを務めましたが(今年春NPB入りの)村田怜音らのいた昨年は一番苦しい時期でもありました。能力が高い選手が多く学生コーチの自分たちも背負っていた。(優勝で全国大会出場が決まる)春の東海大会で敗れた後は1カ月近くグラウンドに立てなかった。

今年のチームは個の力は昨年に劣るがまとまったときの力はすさまじいです。2年ぶりに秋の東海大会を勝ち抜き3連盟に進めるよう1戦1戦戦ってほしい。自分もしっかり応援します。

 令和6年度東海地区大学野球秋季選手権大会が25―27日、ダイムスタジアム伊勢で開かれ、県内から今年秋の県リーグ戦で優勝した皇學館大(伊勢)と準優勝の四日市大が出場する。明治神宮大会につながる大一番に、チーム一丸で挑む両校ナインに裏方からのエールを届ける。