伊勢新聞

2024年10月23日(水)

▼松阪市議会が設けた「議員定数等の在り方調査会」の意見書内容が1カ月余で急変した。1カ月前の会合では定数(28)据え置きで一本化されたのに、この21日に議長に提出した意見書は「現状維持から4人減の24人までが妥当」と幅を持たせた

▼据え置きの理由は前回の会合で示された。「旧町の意見を反映しにくくなる」「(旧町からの議員選出が)難しくなる」など。小林慶太郎会長は議会構成上も現状維持が望ましいと結論づけた

▼削減は、いわば地域の意見が反映されなくなる恐れに配慮した民主主義の視点からだった。答申の方は「一つの結論を下す結果には至らなかった」とだけで、理由はあいまい

▼ただ、調査会設置の端緒になった8人削減の意見書を昨年11月に出した市住民自治協議会連合会がこの2日、調査会の据え置きの方向を受けて「提言を切り捨てるとも思われかねない意見がありますことを非常に残念」と訴えた。即座に譲歩したと考えられなくもない

▼有識者や学識経験者の諮問機関では珍しくないことかもしれない。県立大設置の是非を知事から諮問された有識者会議が、最初は前向きの、知事が交代すると後ろ向きの結論を導き出した

▼この時はそれぞれ別々に組織された2つの有識者会議だったが、松阪市の在り方調査会は1つで2役をこなしたということか

▼学問的判断が下せないならメンバーは学者ではなく、地域の有力者などで組織した方がいい気がするが、どうにでもなる方が前さばきとしての利用価値はあるのかもしれない。