【松阪】第58回三重県人権・同和教育研究大会の全体会が19日、松阪市嬉野権現前町の嬉野ふるさと会館で始まり、オンラインを含め約3千人が参加した。小学校教員が部落差別で懲戒処分を受けた事案を受け、県人権教育研究協議会の川島三由紀会長は「差別意識に気付き乗り越えていけるような部落問題学習を実践、創造しよう」と呼びかけた。
同協議会と同大会松阪市・多気郡4市町大会実行委員会が主催し、差別撤廃と人権文化創造に向けた研修や啓発、教育について討議する。大会テーマは「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する『教育』を確立しよう」。
購入した土地が被差別部落にあると分かったことを理由に契約の解除を迫った公立小学校の教諭夫婦に対し、差別解消条例に基づく一見勝之知事名の「説示」が2月に出され、県教委が7月に減給の懲戒処分とした件で、あいさつに立った川島会長は「衝撃を与えた。言語道断で真摯(しんし)に受け止めなければいけない。頭の中では差別は許せないと思っていたはずなのに、現実に直面すると不安になり避けようとする意識がもたげる。その意識が問われている」と訴えた。
来賓の野呂幸利副知事も「教職員の部落差別は積み上げてきた取り組みをなかったことにしかねない。強い危機感を持って受け止めている。全ての個別学校で研修を実施し、固い決意で臨んでいる」と述べた。
基調提案と地元報告があり、県内7ブロックごとにモニター会場を設置した。20日は分科会を開く。