▼鈴鹿市内で特別養護老人ホーム「かがやきの杜鈴鹿」の運営などを手がけていた同市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の人事を巡って大金が授受されたとして、県警捜査二課が社会福祉法違反(贈収賄)の疑いで元理事長らを逮捕した
▼理事長の権利を巡って3500万円が払われたという。社福法人の贈収賄罪は平成28年の同法改正で新設され、県警が摘発するのは初めてらしい。県警は令和4年7月に元理事長らを業務上横領容疑で逮捕。鈴鹿市が昨年12月、法人の使途不明金について県警に相談していた
▼一方、贈賄側の元理事長らは静岡県で運営していた別の社福法人で横領容疑で静岡県警に逮捕され今年8月、静岡地裁から執行猶予付きの有罪判決を受けている。さらに今年3月には、鈴鹿市内の社福法人が津地裁から破産手続き開始の決定を受けた
▼一度ならず二度までも…。三重、静岡の2県で社福法人の運営を巡り、ずさんな経営が繰り返されていた。社福法人の運営にはよほどのうまみがあるということであろうが、入所者への搾取や虐待の事案が浮上していないのは、うまみは行政相手ということか
▼鈴鹿市では9月、神経、筋疾患、重症心身障害の専門医療機関である国立病院機構鈴鹿病院で長年、入院患者に虐待を繰り返していた疑いが認定されている。元理事長らが関係深い社福法人の運営を静岡から三重へ転じたことに関係があるのかどうか
▼福祉分野では何かと話題の絶えない鈴鹿市である。福祉ビジネスの世界では垂ぜんの的なのかもしれない。