【南牟婁郡】和歌山県新宮市の世界遺産、熊野速玉大社の例大祭を締めくくる神事「御船祭」が16日、同県と三重県境の熊野川であった。9隻の早船が先着を競い、観客らを楽しませた。
御船祭はご神体を乗せた朱色の神幸船を、木造の早船9隻が先導する神事。平成28年に国の重要無形民俗文化財に指定された。平安時代以前に始まり、全国に同様の神事はないという。
みこしに神霊が移されると、熊野川大橋の下流の「下札場」から早船が一斉に出発した。新宮市各地区の代表として、男衆11人が1組となり乗船。水しぶきを上げながら力強く櫂を引いた。
神幸船とともに、約1・6キロ上流に浮かぶ紀宝町の御船島を時計回りに3周し、大社付近の「上札場」に到着。河川敷にいた観客からは声援や拍手が送られた。今年は明神地区が優勝した。
いとこと2人で紀宝町の高台から戦況を見守った、新宮市の会社員、加藤歩さんは「知っている人が乗っていたので初めて見に来た。船をこぐ姿は迫力があり、かっこよかった」と話した。