三重県鈴鹿市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の人事を巡って現金を受け取ったとして、県警捜査二課は16日、社会福祉法違反(収賄)の疑いで、神戸市中央区元町通6丁目、同法人元理事長で会社役員四宮慶太郎容疑者(58)と同市東灘区深江北町1丁目、会社員吉岡百々代容疑者(61)を逮捕した。また、同法違反(贈賄)の疑いで、男2人を再逮捕した。
再逮捕されたのは、和歌山県紀の川市藤崎、不動産管理業金田充史容疑者(52)と東京都中央区月島2丁目、同法人元理事長で無職迫丸卓哉容疑者(44)。共に先月25日に業務上横領容疑で逮捕されていた。
四宮、吉岡両容疑者の逮捕容疑は令和4年2月中旬、金田容疑者から、後任の理事長を迫丸容疑者にするよう依頼を受け、その見返りとして現金3500万円を受け取った疑い。同課は4人の認否を明らかにしていない。
同課によると、当時、四宮容疑者は同法人の理事長で、吉岡容疑者は同法人の運営に関わっていた。その後、迫丸容疑者が理事長になり、金田容疑者は同法人の実質的な経営をしていたという。
鈴鹿市が昨年12月、法人の使途不明金について県警に相談。同課は、金田、迫丸両容疑者が令和4年7月に同法人の口座から現金500万円を着服した疑いで逮捕し、津地検は今月16日、業務上横領罪で2人を起訴した。
金田、迫丸両容疑者は社会福祉法人「誠心会」(静岡市)の資金を横領した疑いなどで静岡県警に逮捕され、今年8月、静岡地裁から執行猶予付きの有罪判決を受け、確定している。
同法人は鈴鹿市内で特別養護老人ホーム「かがやきの杜鈴鹿」の運営などを手がけていたが、今年3月、津地裁から破産手続き開始決定を受けていた。
社会福祉法人の理事は公務員でないため、刑法の贈収賄罪は適用されないが、平成28年の社会福祉法改正で、公益性などを踏まえて贈収賄に関する規定が新設された。県警が同規定で摘発するのは今回が初めて。