<衆院選三重選挙区を行く・4区> 「裏金」批判押し出す 立民、共産新人が挑む

【上から五十音順に青沼陽一郎氏、鈴木英敬氏、中川民英氏】

自民前職の鈴木英敬氏に立民新人の青沼陽一郎氏、共産新人の中川民英氏が挑む構図。1期目の実績を掲げる鈴木氏に対し、新人らは「裏金問題」への批判を全面に押し出す。

約10年間にわたって知事を務めた鈴木氏は前回、立民と共産の新人2氏に大差を付けて初当選した。得票は次点の約3倍。得票率は72・36%で、新人としては全国最多だった。

第1次安倍政権で官邸スタッフを務めた鈴木氏。当選後は9カ月で内閣府政務官に起用されたほか、党文部科学部会副部会長にも就任。1期生としては唯一の副部会長という。

今も「英敬人気」は衰えを見せない。選挙区内の至る所に鈴木氏のポスターが。関係者は「総裁選で小林鷹之氏の県内得票が多かったのも鈴木氏の影響だろう」と見立てる。

ただ、鈴木氏には政治資金収支報告書の不記載問題が直撃した。旧安倍派の鈴木氏は報告書に280万円の不記載が発覚。報告書の修正や報道機関への対応などに追われた。

「秘書と派閥事務局のやりとりだが、責任は全て私にある」と鈴木氏。100回超の集会などで説明を繰り返してきたという。有権者がどう捉えたかも選挙の結果に現れそうだ。

対する青沼氏は「報告書を訂正して済むわけではない」と、裏金問題を強く批判。「政治とカネの問題は泥沼であって良いはずがない。青沼でなければならない」と訴える。

県内にはゆかりがなく、認知度に課題がある。ポスターを前職の隣に貼る作戦を展開。自ら300枚超を貼ってきたという。「自民への批判を良く聞くようになった」と話す。

参院選を含めて国政への挑戦は4度目となる中川氏。裏金問題の発覚後は街頭演説のたびに「庶民には増税、大企業には減税、自民党議員は脱税」と強く批判してきた。

前回の得票は約7800。得票率は4・43%にとどまったが、県委員会幹部は「今回は裏金問題の影響で追い風。裏金議員を認めない有権者の良識が問われる」と期待する。