自民の前職、立民の新人、共産の新人が対決の見通し。自民は裏金問題による「逆風」を懸念しつつ、野党も共産の候補者擁立によって〝票割れ〟が避けられそうにない。
自民前職の田村憲久氏は9回連続当選のベテラン。前回も幅広く支持を集め、自身としては過去最多の約12万票を獲得。次点の元職、松田直久氏にダブルスコアで勝利した。
二度にわたって厚労相に就き、現在も党政調会長代行を務める。選挙期間中も他候補の応援で各地に出向く予定。その間はスタッフが田村氏に代わり、地元で支持拡大に励む。
他方、懸念は派閥の裏金問題。自らに政治資金収支報告書の不記載はないが、選挙への影響を「(民主党政権が誕生した)平成21年の衆院選と同じぐらいの逆風」と語る。
対する立民が松田氏の後任として擁立したのは、新人の福森和歌子氏。大手広告会社の電通で長年にわたって勤務し、社会福祉士の資格も取得。自ら党の公募に申し込んだ。
昨夏の出馬表明以降は地元の議員や労組などを頼りに選挙区内を巡ってきた。ある議員は「印象が良く、日々成長している。岡田克也前幹事長からの評価も特に高い」と話す。
それでも知名度で田村氏に劣ることは否めない。福森氏は圧倒的な知名度を誇る田村氏を「横綱」と表現しつつ、あいさつ回りや小規模な集会などを通じて浸透を図る考えだ。
ただ、前回は擁立を見送った共産が新人を充てるため、野党の票が分散するのは必至。過去の実績を基に試算すると、選挙区内では1万ほど共産の固定票があるとみられる。
その共産が擁立した新人の出口洋介氏は、35歳という若さが売りの一つ。同じく若手の県議や津市議の支援を受けながら、子育て世代や学生らを中心に支持拡大を図る。
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令和3年10月以来、約3年ぶりの衆院選。県内では与野党の計13人が四つの選挙区で激戦を繰り広げる見通し。4回の連載で各選挙区を展望する。