伊勢新聞

2024年10月11日(金)

▼公益通報制度に基づき通報した職員に対し、総務部などが知事の意向をそんたくして不利益な取り扱いをした兵庫県について、県でもありそうなことだと再三指摘したが、そのことが実証されないか。一見勝之知事の言動に関する相談が県の「ハラスメント相談窓口」に寄せられた

▼「知事の資質に欠ける」「知事レクがスケジュール通りに進まない」などと記載したメールが7月、届いたという。「今回は公益通報制度の対象ではない」と人事課。届いたのが公益通報の窓口ではないからということか。公益通報かどうかは組織が判断するのではなく、第三者委員会に委ねるのが制度の骨子だが、人事課の判断は兵庫県との類似性を思わせる

▼公益通報制度に準じて「通報者を保護する」としながら「通報者の主張や相談内容に寄り添って調査したい」という後田和也総務部長の答弁も分かりにくい。兵庫県の場合、犯人捜しまがいの通報者特定の調査を始め、通報内容を“事実無根”とした。通報者にとって「寄り添った調査」との間に実質的違いを見いだせるかどうか

▼県は格別悪質な自治体とも思わないが、といって全国の模範になる自治体でもない。知事など権力者の号令一下で、一夜で態度を変えるのは周知の通り。情報公開度や男性の育児休暇取得率なども、なりふり構わず全国上位に躍進してみせて、ほとぼりが冷めると元のもくあみになるのもいつものパターン

▼総務部系統の「保護する」「寄り添った」などの言葉を額面通りに信用する職員が果たしているかどうか。