三重に移住「満足」75% 県アンケート、良かったこと「自然環境」最多 県議会常任委

【移住者へのアンケート結果について報告を受ける総務地域連携交通常任委=県議会議事堂で】

三重県議会は7日、総務地域連携交通、環境生活農林水産、教育警察の各常任委員会を開いた。地域連携・交通部は県内への移住者に実施したアンケートの結果を報告した。回答者の75%が「とても満足」または「満足」と回答。移住して良かったこととして、多くが「自然環境」を上げた。一方、不満なことの最多は「周囲の生活環境」。交通の不便さや災害への懸念も目立った。

「周囲の生活環境」に不満も

<総務地域連携交通=野村保夫委員長(8人)>
県によると、アンケートは移住促進の施策に生かすために初めて実施。県や市町の施策を利用して令和3年度以降に移住した1097世帯に依頼し、19・2%に当たる211世帯が回答した。

49世帯が移住して「とても満足」と回答。108世帯が「満足」と答えた。移住を決めた理由の最多は「自然が豊か」で83世帯。「実家が近い(実家に戻る)」の77世帯が続いた。

移住して良かったことの最多も「自然環境が豊か」で、133世帯が回答。「実家や親戚、友人、知人が近くにいる」(86世帯)や「人の温かさ」(73世帯)などが続いた。

不満なことは「周囲の生活環境が充実していない」が最多で、64世帯が回答。「交通機関が充実していない」(58世帯)が続いたほか、53世帯が「災害が心配」を上げた。

ツキノワグマ出没、4―9月で111件確認

<環境生活農林水産=廣耕太郎委員長(8人)>
農林水産部は本年度に入ってから県内で確認されたツキノワグマの出没が急増していることを報告。登山客らへの注意喚起や市街地での出没を想定した訓練に努めていると説明した。

県によると、4―9月中に県内で確認されたツキノワグマの出没は111件で、前年同時期(15件)の約7倍で推移している。過去最多となった昨年度中の40件は既に上回った。

この日の常任委で、今井智広委員(公明党、5期、津市選出)は「いったん捕獲した後に放すクマにGPS(衛星利用測位システム)を装着できないのか。その予定はないのか」と尋ねた。

県当局は「今のところ考えていない」と回答。「ツキノワグマは指定管理鳥獣ではないため、捕獲できない。危険のある個体を捕獲した場合は放さずに駆除している」などと説明した。

警察署受け付け時間繰り上げへ

<教育警察=喜田健児委員長(8人)>
県警は来年4月1日から、運転免許の更新などを警察署の窓口で受け付ける時間を1時間ほど短縮すると報告した。職員の負担軽減が目的。委員から利便性の低下を懸念する声が上がった。

県警によると、受け付けの時間を短縮するのは車庫証明の発行や道路使用許可の申請など。現状は午後5時15分ごろまでの終了時間を、午後4時に繰り上げる。午前8時半の開始時間に変更はない。

各署では窓口業務の後に事務処理を進める必要があるため、時間外勤務が常態化していた。午後4時以降の来訪者は少ないことから、県警は「繰り上げの影響は最小限」とみている。

藤田宜三委員(新政みえ、5期、鈴鹿市)は「県民サービスが低下するのでは」と指摘。八木隆明警務部長は「県民の利便性が損なわれる恐れがある。当面は柔軟に対応する」と答えた。
【移住者へのアンケート結果について報告を受ける総務地域連携交通常任委=県議会議事堂で】