伊勢新聞

高虎の等身大パネル完成 津の看板職人・紀平さん制作 三重

【藤堂高虎の等身大パネルを制作した紀平さん(右端)と完成を喜ぶ(左から)深見、見並両副会長=津市内で】

【津】三重県津市の看板職人、紀平昌伸さん(84)がこのほど、津藩祖藤堂高虎の等身大パネルを制作し、高虎を顕彰する「津城復元の会」「安濃津ガイド会」の2団体に寄贈した。壮年期の木像の顔写真をもとにした力強い姿で、今後は津城模擬櫓(やぐら)前やイベント会場などに登場し、身長190センチの長身で知られた高虎を今に伝える。

紀平さんは手描き看板の制作で現代の名工、黄綬褒章、県文化大賞など数々の功績を収める。両会は津城などでのガイドで高虎が大柄だったことを紹介する際「等身大パネルがあれば」と常々思っており紀平さんに制作を打診。紀平さんは快諾した上「地域のために寄付したい」と申し出た。

同パネルはベニヤ板に耐水性の塗料で描いた。甲冑(かっちゅう)に蔦の家紋の入った赤い陣羽織姿の高虎で、190センチの身長に唐冠形兜(とうかんなりかぶと)をかぶり高さは2メートル超、幅約90センチの力強い姿。戦災で焼失した高虎壮年期の座像の顔がモデルで、津藩史料に「甚だよく似たり」とあるという。目線を落とし、子どもや領民を見守るような表情にしたという。

紀平さんは「商売抜きで喜んでもらえるならと私の技術を託した。あちこちに持っていって役立ててほしい」と話す。

安濃津ガイド会の深見和正、見並勤子両副会長は「素晴らしい」と絶賛し「等身大パネルはガイドの夢。秋は津まつり、高虎楽座などお出ましの機会は多くあるので、一緒に写真を撮り、改めて大きさを感じてほしい」と期待している。