伊勢新聞

2024年10月4日(金)

▼同僚の女性市議にわいせつな行為をしたなどとして、県警が不同意わいせつと不同意性交未遂の疑いで、津市議会の男性市議を書類送検した。特定の自治会長問題の記憶が薄れかけている中で、津市にとってはまた起きた不名誉な事件だろう

▼視察先の北海道小樽市で発生した。ホテルのエレベーターで、男性市議が女性市議に無理やりキスをし、抱きついたという。女性市議が弁護士などに相談して北海道警に被害届を提出した。男性市議は本紙の取材に「事実無根としか言えない。法的措置を検討している」と話した

▼道警に被害届を出したのに県警が書類送検したのはどういう仕組みか。被害届まで半年以上、期間が開いたのはなぜかなど、疑問はあるが、被害者と加害者側の言い分が真っ向対立するのは、身近な関係者間で起きたセクシャルハラスメントの特徴ではある

▼大学や研究機関などでのセクハラはしばしば裁判や論争になる。「指導の一環」「面倒をみてやっていた」というのが立場が上位にある側の言い分だ

▼「最近はどう話したらいいか分からなくなった」というのが、セクハラ意識の高まりに伴う稲垣清文副知事(当時)の言葉。それまで男性が意識しなかったことを求められる時代になった。津市の男性市議の言動がその流れにあるのかどうかは分からないが、日本に女性議員のなり手が少ないのは、一つに日常的セクハラがあると言われる

▼被害者と加害者の言い分が真っ向対立する今回の問題などに、根本原因が潜んでいるのかも知れない。解明が待たれる。