三重県立総合医療センター(四日市市)が保険適用外の腹腔(ふくくう)鏡手術を開腹手術と装って診療報酬を不正に請求した問題で、センターは3日、東海北陸厚生局による監査の結果を発表した。腹腔鏡手術に加え、リハビリなどでも保険適用外の請求があったことが新たに判明。保険者や患者に返還する金額は、少なくとも6億円に上るとみられる。
センターは令和3年1月、産婦人科で腹腔鏡手術を開腹手術と装って診療報酬を不正に請求した事例が平成26年度以降で112件に上ると発表。昨年5月から同局の監査を受けていた。
監査結果では、平成30年5月以降で約20万件のリハビリが保険適用外だったことが新たに発覚。保険適用の要件となる計画書を作成せずにリハビリをしたケースなどがあったという。
同局は監査結果で、これらの請求を「不正」や「不当」と認定。センターに対し、健康保険法に基づく「戒告」を出したほか、自主点検を経て保険者や患者に返還するよう求めた。
センターは監査結果を踏まえ、返還額の精査を進めている。返還額は手術で1―2億円、リハビリで4―5億円に上る見通し。返還を受ける患者は、少なくとも数千人に上るとみられる。
同局は監査結果で「病院全体として、診療報酬の算定ルールに対する意識が低かった」などと指摘。問題の背景として、医師と事務方の連携不足や研修の不十分さなどを挙げたという。
センターの小倉康彦事務局長は取材に「患者や地域に不安を与え、申し訳ない。診療報酬の知識や制度の理解が不足していた」と説明。院内で立ち上げたチームで再発防止を図る考えを示した。