【鈴鹿】三重県鈴鹿市若松の作家、中條ていさん(68)の小説「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)が同名で実写映画化され、11月1日から全国の映画館約250館で公開される。
全国公開を前に、中條さんは「子どもたちにも見てもらえる、素晴らしい映画になった」と話した。
作品は自身にとって4冊目。もともとは平成25年に幻冬舎ルネッサンスから自費出版した。一期一会の連鎖が大きな輪になっていく群像劇を描いた短編連作集。登場人物には公募した市内中心の37人の名前を使った。
「アイミタガイ=相身互い」は、同じ境遇や状況にあるもの同士が共感し、助け合うことを意味する。
原作を元に、映画では5つの短編を一つにまとめた。かけがえのない存在だった親友を失い、立ち止まってしまった主人公の思いがけない出会いを描く。主演は黒木華さん、草野翔吾監督。上映時間は105分。
桑名市を中心に、四日市市や津市などで昨年4―5月に撮影された。中條さんも冒頭の通行人役で出演している。
中條さんは「アイミタガイの精神は、日本人にとってとても大切なこと。コロナを経て、戦争もあり、10年前より今の方がずっと必要になっているのではないか」との思いを述べ、「映画では、小説にはなかったスマホやLINE(ライン)が登場する。昔じゃない、今の『アイミタガイ』が生まれればいいなと思う」と話した。