伊勢新聞

分校、北勢に設置検討 来春開校の県立夜間中学 三重県議会一般質問

【右から野口正議員、伊藤雅慶議員、西場信行議員、杉本熊野議員】

三重県議会は27日、野口正(自民党、3期、松阪市選出)、伊藤雅慶(新政みえ、1期、三重郡)、西場信行(自民党、11期、多気郡)、杉本熊野(新政みえ、5期、津市)の4議員が一般質問した。福永和伸県教育長は来年4月に津市内で開校する県立夜間中学の分校や分教室を、北勢に設けることを検討していることを明らかにした。伊藤議員への答弁。

 新興感染症に備えて

野口 正議員(自民党) 新型コロナウイルスに対応した経験を踏まえ、新興感染症の発生に備えるよう要請。医療保健部は補助金を通じて医療機関の対策を支援し、新たな感染症の発生に備えた協定の締結も進めていると報告した。

【感染症】
野口議員 新型コロナが5類に移行し、危険意識が低下しているように感じる。行政が県民に感染状況を伝え、対策を促すべき。新型コロナの経験を生かした新興感染症への備えも必要。医療提供体制の整備を。

松浦医療保健部長 週単位で感染状況を把握してホームページなどで県民に注意喚起している。新興感染症に備え、医療機関の感染対策を強化する補助事業を本年度から実施している。病床確保や発熱外来に関する協定の締結も進めている。

【介護人材】
野口議員 介護施設の人材不足は顕著。このままでは十分にサービスを利用できなくなる。県は介護人材の確保に向けてインドネシアとの連携を促進しているが、すぐ効果が出るわけではない。現状と取り組みは。

松浦医療保健部長 県内では2040年度に5600人の介護職員が不足すると推計される。外国人材の受け入れが不可欠だが、アジア諸国の経済発展や円安によって獲得競争が激しくなっている。踏み込んだ支援策を検討している。

 庭園周遊推進で誘客

伊藤 雅慶議員(新政みえ)
「県内には魅力的な庭園が多い」とし、旅行で各地の庭園を巡って「ガーデンツーリズム」への考え方を尋ねた。観光部は庭園の魅力を発信し、海外誘客などにつなげる考えを示した。

【周遊観光】
伊藤議員 国交省はガーデンツーリズムを推進し、全国で17の計画を登録して周遊ルートを紹介している。県内にも六華苑など、魅力的な庭園がたくさんある。ガーデンツーリズムの推進に向けた県の取り組みは。

生川観光部長 庭園や自然は国内外の旅行者にとって人気が高い。桜の開花情報をタイムリーに発信したり、海外のメディアに庭園を視察してもらったりしている。登録を目指して協議会が組織される際などには県も参画し、支援したい。

【夜間中学】
伊藤議員 来年4月に津市で県立の夜間中学が開校するが、北勢にも外国人の児童生徒は多い。不登校の児童生徒も増えている。誰一人取り残さないよう、北勢に夜間中学の分校や分教室を開校してほしい。

福永教育長 令和4年度の入学希望調査や北勢を対象にした今春のニーズ調査では一定数、肯定的な声があったことから北勢での設置を検討中。学び直しを求める人の思いに応えられるよう、市町の教育委員会と連携して引き続き検討する。

 充指導主事の緊急派遣を

西場 信行議員(自民党)
年度当初に欠員が生じた小中学校に、県教委の充指導主事を緊急的に派遣するよう提案。福永教育長は「充指導主事は教育委員会に不可欠」などと述べ、派遣には慎重な姿勢を示した。

【教員不足】
西場議員 県教委は教員不足の解消に向けて採用に努めるというが、効果は何年先になるのか。真剣に打開策を検討すべき。年度当初に欠員が生じた小中学校に、県教委の充指導主事を緊急的に派遣しては。

福永教育長 充指導主事は指導計画改善や教育課程の研究、いじめ対策といった専門的事項に従事し、教育委員会に必要不可欠。学校への派遣は慎重に検討する必要がある。大規模災害などは派遣も選択肢の一つとして考えなければならない。

【宮川】
西場議員 宮川ダム下流でBOD(生物化学的酸素要求量)などが基準値を超えたというが、河川環境への影響は許容範囲なのか。直接の放流による水質悪化を懸念する声も上がる。水質改善の取り組みは。

若尾県土整備部長 今年8月に実施した放流水の調査では、BODなど一部の項目で環境基準を超えた。少雨の影響と考えられる。水質悪化は一時的なものと考えるが、頻発化や長期化が確認されれば効果的な対策を検討したい。

 虐待防止へ連携明確に

杉本 熊野議員(新政みえ)
津市で母親の虐待を受けた女児=当時(4つ)=が死亡した反省から、条例などで関係機関との連携を明確に規定するよう要求。一見知事は改正を検討中の条例に関係条文を設ける意向を示した。

【岩田川】
杉本議員 津市の岩田川では堤防の老朽化が進み、至る所がパテなどで補修されている。高さは3・2メートルほど。津波は必ず岩田川を遡上(そじょう)する。南海トラフ地震臨時情報で周辺住民の不安は高まった。早急な整備を。

若尾県土整備部長 岩田川の堤防は地震での沈下後も比較的高いことから、過去の調査で対策が不要となった。来年度以降に着手する河川整備計画の見直しで対策の必要性を検討する。河川堤防の整備に対する補助も国に要望している。

【児童虐待】
杉本議員 津市で母親の虐待を受けた女児が死亡した事件で、2歳だった女児が乳児院から家庭復帰する前に引き継ぎの会議が開かれなかった。県と市町の間に大きな溝がある。関係機関の連携を明確に規定すべき。

知事 虐待防止条例の改正を検討しているが、関係機関の意見を聞いた上で一時保護を解除すべきという意見は、その通りだと思う。家庭に戻した場合の対応方針も作らなければならない。こういった条文を規定し、きちんと執行したい。