金属買い取り業者規制へ 三重県内盗難多発で、条例制定目指し意見公募

三重県内で金属類の盗難被害が多発していることを受け、県警は金属類の買い取り業者を規制する条例の制定を目指している。県警は27日、条例案の概要を公表。令和7年の施行を目指し、来月26日まで実施するパブリックコメント(意見公募)や他県の事例などを参考に条例案をまとめていく。

県警によると、金属類の盗難被害は近年増加傾向で、県警が昨年認知した被害は347件で3年前の約4・2倍。今年1月から8月までに、388件の被害が確認された。

県警は金属類の買い取り価格高騰が背景にあり、盗品の多くは買い取り業者などに売却されているとみて、売却先の取り締まりを強化している。

一方で、美術品や機械類などの古物を扱う業者には売却者の氏名や住所の確認を義務付ける「古物営業法」があるが、製品として使われなくなった金属類は同法の対象外となっている。

素案では、切断されたマンホールやグレーチング、壊れた室外機などを「特定金属類(仮称)」と定義。特定金属類を買い取る業者の営業には、県公安委員会への届け出が必要になる。

また、買い取り時には売却者の氏名や住所などについて、身分証での確認や帳簿などへの記録を義務付け、盗品の疑いがある場合は県警への申告を求めるという。

悪質な違反があった場合には、営業停止などの行政処分が可能になるほか、罰則規定として、罰金や拘禁刑の導入についても検討している。

難波正樹県警本部長は26日の記者会見で、「三重県は全国的にも金属盗の発生が多い。盗品の流通を防止し、買取行為が犯罪ツールとして使われるのを防ぐため、必要な対策を講じて金属盗の防止を図りたい」と話した。