「擬革紙」復興の歩みたどる 三重県伝統工芸、玉城町で継承の会15周年記念展

【擬革紙と段ボールで作った甲冑を紹介する堀木会長=玉城町勝田の保健福祉会館ふれあいホールで】

【度会郡】和紙を革のような風合いに加工する伝統工芸品「擬革紙」を継承する「参宮ブランド擬革紙の会」の創立15周年を記念した展示会が27日、三重県玉城町勝田の保健福祉会館ふれあいホールで始まった。江戸時代に伊勢参宮の土産として人気だった擬革紙の復興の歩みと、擬革紙を使った多彩な作品を展示している。29日まで。

擬革紙は、型などでしわをつけた和紙を染料や顔料で着色し、革に似せた風合いに加工したもの。江戸時代、現在の明和町にあった商店「三忠」の初代堀木忠次郎が、油紙を使って製造したのが始まりという。革が貴重だった時代、擬革紙を使ったたばこ入れが参宮客の人気を集め、地域の一大産業となったが、昭和初期には合皮製品の普及などにより衰退。製造技術も途絶えた。擬革紙の復活を目指し、平成21年に玉城町近郊の有志らが会を発足。専門機関の助言を受け、試行錯誤を重ねて再興し、県指定伝統工芸品にも認定された。

会の15周年と伝統工芸指定10周年に合わせ記念展を企画。会場では、これまでの取り組みを紹介するパネルや、江戸時代に使われていた道具などを展示し、製造工程を映像で紹介している。作品展示では、会員らが擬革紙を使って制作した手帳や小物入れなど約100点を披露。段ボールと擬革紙で作った甲冑(かっちゅう)、子どもらの創作作品、乱獲による絶滅危惧の野生動物を題材にしたカバやワニのオブジェも目を引く。

堀木茂会長(75)は「歴史を受け継ぎ守ってきたこれまでの歩みを知ってほしい。子どもや若い人たちに興味を持ってもらい、未来へつなげたい」と話していた。

会場では、熊野古道世界遺産登録20周年に合わせ、地元の写真家森武史さんの作品展「熊野修験」も同時開催している。