伊勢新聞

2024年9月25日(水)

▼立憲民主党代表選で新代表に選ばれた野田佳彦氏は、1回目の開票で枝野幸男前代表が地方議員票のトップになったのを見て「創業者は強いな」と思ったそうだ。聞いていて「中道路線は強い」と思った。野田氏の実感は目前の戦いだが、こちらの実感は選挙一派を見てきた感想だ

▼ニクソン元米国大統領は選挙参謀のアドバイスで、相手を徹底的に攻撃することが勝利することになると信じていたという。日本の首長選は旗色を鮮明にしない方が優勢になる。優柔不断に見える方が、自分の思うように操縦できると周囲に有力者、実力者が寄ってくるからだ

▼選挙結果に対する立民県連関係者の発言も日本的、あまりに日本的なのではないか。どの候補者に投票したかを聞かれて、中川正春代表は1回目は推薦人となった吉田晴美氏に入れたとしながら、決戦投票は「外に向けて言うことは控えたい」

▼県連の代議員として決選投票で投票した三谷哲央県連幹事長は「常任幹事会で報告するよりも先に、このタイミングで口走ってしまうのはいかがか」。岡田克也党幹事長も立場上、投票先を明らかにしない考えを示していた

▼「外」と「内」を明確に分けて「内」向きの言葉ばかり繰り返す。「外」が国民、有権者であることは言わずもがな。「知らしむべからず」で「寄らしむべし」ができる時代ではもあるまい

▼「外側」の人の関心を閉め出して“本気”で政権を取りに行けるのか。野田氏の中道路線も、自民党との対決軸より内々の仲良しクラブを目指している気がしてならない。