伊勢新聞

2024年9月23日(月)

▼「言うはやすく行うは難し」は中国・前漢(前206―8年)の『塩鉄論』。「言行一致」も中国古典を源流とする。日本には「言うた損より言わぬ損が少ない」の慣用句。どちらが好まれるかは自民党総裁選を見ていても分かるる

▼ラグビーの三重ホンダヒートが63年間の本拠地・鈴鹿市から宇都宮市に移転する。一見勝之知事は「大変残念。引き続き活躍を応援する」、末松則子鈴鹿市長は「これまでの取り組みを継続。より一層連携を推進」、福永和伸県教育長も「子どもたちに夢を与えてくれる存在が遠くなってしまうのは残念。これからも良い関係を保ちたい」

▼これら言葉が行動と一致するかどうかは今後を見るしかないが、これまでそうでもなかったことは移転の事実が証明していないか。「残念」という県リーダーらの気持ちが具体的形になって伝わっていれば、移転の選択にならなかった気がする

▼スポーツのトップクラスのプロチームが育たないことで、県は“希少県”に属するのではないか。サッカー女子なでしこリーグの伊賀FCくノ一三重がWEリーグに参加できなかったのは基準の施設が用意できなかったこととされる。かつてプロ野球独立リーグが拠点を置いたが、施設整備が進まず、移転消滅した。支援への行政の冷たさには何度か遭遇した。サッカー場建設を民間に丸投げして醜聞まみれになったのは周知の通り

▼県民や「子どもたちに夢を与えてくれる」効果を言うだけで、施設整備をする気はない。スポーツに対する県の行動なのである。