伊勢新聞

2024年9月20日(金)

▼先日、携帯にショートメールの着信があった。有害サイト利用の未払いがある。振り込まなければ法的手続きに入る、という。昔はハガキだったが、メールでは初めて。効果があるということだろう

▼迷惑メールは実に巧みだ。元気かとか、アドレスは変わってないねとか、旧知の友人を装ってきて、しばし考え込まされる。スマホで最新機能を駆使されては高額の特殊詐欺被害が後を絶たないのも分かる気はする

▼米IT大手メタがSNS(交流サイト)のインスタグラム利用を10代の若者に限って一部制限するという。有害情報から保護するためで、米上院の公聴会で、子どもが自傷したり自殺する被害が出ていると批判されていた。子ども向けアカウントを導入し、親が制限する機能を追加する

▼日本でも来年1月から開始するらしいが、効果はどうか。総務省が携帯電話から青少年の有害サイトへのアクセスを制限する機能を付加するよう携帯業者に要請したのは平成21年。最大の障害は、制限を決定する親などに児童らの利用について、関心が薄かったことだ。家族で携帯の利用を話し合うよう奨励されたが、浸透しなかった

▼そのうち通常のゲームから有害サイトに誘い込む手口など、悪質技術が進歩し、また個人同士をつなぐ機能が利用されるようになってそこから誘導されるなどで、見てくれだけの存在になった

▼なぜ児童生徒だけが制限されるのか。IT時代の情報機器利用は、そこのところの説明がきちんとできなければ、抜け穴はいくらでもはびこる気がする。