三重県は17日、令和6年の基準地価を発表した。県内では、住宅地の平均変動率が32年連続で下落したが、下落幅は3年連続で縮小。商業地は33年ぶりに上昇し、工業地も3年連続で上昇した。調査に当たった不動産鑑定士は「経済活動の活発化を背景に、地価が一段と回復した」としている。
県によると、基準地価は都道府県が毎年7月1日時点の地価を公示する制度。土地の取引や固定資産税の算定などで目安となる。32人の不動産鑑定士が前年と同数の317地点を調べた。
■住宅地
平均変動率はマイナス0・3%で、下げ幅は0・2ポイント縮小した。全国順位は二つ上げて25位に。前年は56地点だった上昇地点は64地点。下落地点は12減の122地点となった。
1平方メートルあたりの平均価格は2万8200円で前年から100円の増加。最高価格は津市大谷町で前年比2・9%(3千円)増の10万6千円。津駅への近さなどから19年連続でトップとなった。
市町別の平均変動率では、津、四日市、鈴鹿、亀山、朝日の5市町が2年連続で上昇したほか、川越町も33年ぶりに上昇。下落したのは20市町で、前年より3市町少なかった。
■商業地
平均変動率は0・4%で、前年から0・5ポイント上昇。全国順位は二つ上げて23位に。上昇したのは41地点で、前年より七地点の増加。下落したのは32地点で、3地点少なかった。
1平方メートルの平均価格は800円増の6万3400円。最高価格は四日市市安島1丁目で、14年連続。市中心部の再開発への期待などから、5・6%(1万7千円)増の32万3千円となった。
8市町で平均変動率が上昇した。朝日町では幹線道路沿いを中心に需要が高まり、町内に基準地が設定された平成25年以降で初の上昇。伊勢市も33年ぶりに上昇した。
■工業地
平均変動率は1・9%で、上昇幅は前年から0・4ポイント拡大。全国順位は一つ下げて20位に。前年より1地点多い14地点で上昇した。1地点が横ばい。下落した地点は2年連続でなかった。
1平方メートルあたりの平均価格は400円増の2万200円。最高価格は34年連続で桑名市江場。国道23号への良好なアクセス性などから、1・4%(600円)増の4万3400円となった。
市町別の平均変動率では、調査対象となった12市町のうち11市町が上昇した。名張市では、基準地が設定された平成5年以降で初の上昇。伊勢市は2年連続で横ばいとなった。
県地価調査分科会の代表幹事を務めた片岡浩司不動産鑑定士は地価の動向について「緩やかに回復したが、伊賀地域や県南部は過疎化などの影響で改善の動きがややストップしている」と話す。
商業地は「四日市や桑名の駅前に加え、交通量の多い幹線道路沿いが主力」と説明。工業地については「新規の設備投資など、物流以外での需要も見られるようになってきた」と語る。
リニア中央新幹線の影響は「今のところない」としつつ「駅位置が決まれば地価への影響もあるだろう。既に候補地への近さをアピールするような宣伝も見られる」と話している。