京都洛東遺芳館の名品並ぶ 津・石水博物館で「京商人の美意識」展 三重

【宋紫石の「猛虎図」=津市垂水の石水博物館で】

【津】三重県津市垂水の石水博物館は14日から、企画展「京商人の美意識」を開く。江戸時代から続く京都の豪商、柏原家のコレクションを有する洛東遺芳館(いほうかん)(京都市東山区)の名品を中心に24点を展示する。11月17日まで。月曜(祝日の場合は翌平日)休館。入館料一般500円。

石水博物館は津市出身の実業家で芸術家の川喜田久太夫(号・半泥子)が設立。共に江戸店持(えどだなもち)の川喜田家と柏原家は幕末に縁戚関係を結び、大正時代には10代目柏原孫左衛門が百五銀行取締役に就くなど親交が深く、同行が協賛し今展が実現した。

円山応挙の軸「虎図」、宋紫石の六曲一双のびょうぶ「猛虎図」などのほか、蒔絵(まきえ)の貝桶や伊勢物語を題材にした合わせ貝など見事な婚礼調度が並ぶ。石水博物館の所蔵品では、久太夫が同行の頭取時代に孫左衛門との交流を記した日記や、川喜田、柏原家両家の名が載った江戸店の長者番付などを紹介している。

洛東遺芳館の所蔵品が他館でまとまって公開されるのは初めてだといい、桐田貴史学芸員(30)は「門外不出の名品ばかりで当館でしかできない展覧会。伊勢の地で豊かな商人文化をご覧いただきたい」と呼びかけた。