2024年9月14日(土)

▼毎年、敬老の日に合わせて厚労省は「百寿者」(100歳以上の人)の人口と「最高齢者」を発表する。昨年、百寿者は過去最多の9万2139人だったが、今年はさらに増える見込みだ

▼99歳は「白寿」、100歳は「百寿」、100歳を超えると「仙寿」と言われるが、こうした長寿者のリアルについてメディアはほとんど報道しない。「人生100年時代」と言われるいま、メディアがするのは「長寿のお祝い報道」と「長寿の秘訣(ひけつ)報道」ばかり。しかし、現実は違う。百寿者に元気で健康な人などほとんどいない

▼多くの人が100歳を待たずに死ぬので、百寿者は例外的に生き残った人だが、体力、知力とも大きく衰えている。80歳の筋力は20歳代の半分とされ、百寿者になるとちゃんと歩ける人は希。日本は「寝たきり老人」が諸外国に比べて多く、その数約200万人。つまり、百寿者の多くは寝たきり老人なのである

▼また、認知症は歳を取るにしたがい多くなり、80歳以上で4割、90歳以上で6割とされるので、百寿者の多くは認知症患者だ。老いることは、このように残酷なことだが、メディアはそれを決して言わない。