菰野江名さん新作小説 「さいわい住むと人のいう」 菰野町出身

【菰野江名さんの新作「さいわい住むと人のいう」】

【三重郡】ポプラ社小説新人賞を受賞した三重県菰野町出身の菰野江名さんの新作「さいわい住むと人のいう」が9日、同社から発刊された。B6判、332ページ、税別1700円。

菰野さんは平成5年生まれ。東京都在住で、裁判所書記官として働いている。出身地にちなんだ筆名で執筆した「つぎはぐ、さんかく」が第11回ポプラ社小説新人賞を獲得し、昨年1月に刊行された。本書は受賞後第1作となる。

物語は戦争孤児で親戚をたらい回しにされた姉妹を中心に、夫の暴力から逃れた母子の運命が交錯する。2024年から20年ごとに1964年までさかのぼり、再び現在に戻る6章構成。本文は「低いテーブルで脛(すね)をしたたかにぶつけた」で始まり、「冗談かと思うような豪邸だった」と本文にある姉妹の家が表紙カバーを飾る。

菰野さんは「彼女たちがおのおの見つけた幸せの形を、80余年の努力を、著者としてもとても尊いものだと感じます」とメッセージを寄せている。