東海財務局津財務事務所は12日、7―9月の法人企業景気予測調査結果を発表した。景況感が「上昇した」と答えた企業から「下降した」と答えた企業を差し引いた割合を示す景況判断BSIは、令和4年10―12月期以来、7期ぶりに「上昇」が「下降」を上回った。自動車の認証不正問題で減少した受注が回復しつつあることが影響したとみられる。
事務所によると、調査は三重県内に本社を置く資本金1千万円以上の136社を対象に実施。8月15日時点の景況感や人手不足感などを尋ね、86・8%に当たる118社から回答を得た。
県内の景況判断BSIは2・5で、前期(4―6月)から7・4ポイントの増加。7期ぶりにプラスとなった。翌期(10―12月)の景況判断BSIは7・6に上昇する見通しとなっている。
規模別では、中堅企業がプラスに転じた。前期はマイナス10・3だった中小企業は「上昇」と「下降」が均衡する「0」に。大企業はプラスを維持しつつ「上昇」超の幅が縮小した。
人手不足感を示す従業員数判断BSIは前期比4ポイント減の40・7。「不足気味」超の幅は3期ぶりに縮小しつつ、17期連続で「過剰気味」を上回った。翌期は再び人手不足感が拡大する見通し。
聞き取りでは「減少していた完成車メーカーからの受注が戻ってきている。年内は高稼働が続く見通し」(自動車製造関連、大企業)との声が上がり、認証不正問題の影響が収まりつつある。
一方で「中国からの受注が伸びず、回復の兆しが見えない」(情報通信機械、大企業)と先行きへの懸念も。中小企業からは「大企業に比べて給与が見劣りし、人材が流れる」との声もあった。
米田征史所長は12日の記者会見で、認証不正問題の影響について「多くの企業から『底を脱した』との声が聞かれる。受注や稼働が回復しつつあることは、非常に心強い」と語った。
一方、回復のペースは「メーカーによって差がある」と指摘。「金利の上昇を過度に意識し、投資が消極的になることも懸念される。引き続きヒアリングで状況を把握したい」と述べた。