▼夏の甲子園高校野球大会に県代表として出場した県立菰野高校硬式野球部を6月まで指導していた監督が部員への体罰で6日、県教委から減給の懲戒処分を受けたが、同日にやはり体罰で文書訓告を受けた県立高野球部監督は、別の高校野球部を6年前に甲子園に導いて“下克上”などと話題になり、テレビドラマにもなって地元を盛り上げた監督だった
▼高校野球の華、甲子園出場へ大きく貢献した監督が2人、体罰で処分を受けたことになる。異例のことか、それとも、野球部監督として体罰は普通で、処分を受けることが“異例”か
▼菰野高野球部前監督の体罰例は6日の報道で詳述されたが、もう一人の監督の方は影に隠れていた。改めて見ると、腕立て伏せの腕を深く曲げるよう指導するのに、右足つま先で部員の左側頭部を2回つついたという
▼甲子園出場の際は、合理的指導に基づく練習が伝えられたが、いわゆる“美談”だったのか。昔、教育長が夜間に報道機関から電話がくるとギクッとすると言っていた。生徒が何か問題を起こしたのではないかと、とっさにコメントを考えるという。今や、教師の問題行動に気を回す時代か
▼不祥事は隠さずすべてを明らかにすることが大事だとも言っていた。後から分かると、信頼を保てないからだという。菰野高前監督の処分を発表する際、その前の甲子園監督の体罰問題を隠ぺいしたわけではあるまい。ことさら説明しなかったのには、理由があったに違いない
▼が、県民の信頼は、大きく損なうことになったかもしれない。