障害ある患者に虐待3件認定 鈴鹿病院の事案で2市町 三重

【鈴鹿】三重県鈴鹿市加佐登3丁目の国立病院機構鈴鹿病院(久留聡院長)が、障害のある入院患者に対する36件の虐待疑いについて、障害者虐待防止法に伴う関係自治体への通報を怠っていた問題で、鈴鹿市など2市町がそのうち3件をこのほど、虐待として認定していたことが分かった。

同病院などによると、虐待認定の内訳は放棄1件、放置2件で被害者は3人。関与した職員は3人。

そのうち鈴鹿市は、当事者や従業員への聞き取りを基に、市内患者2人の2件について、病院組織の機能不全による放置として虐待認定。

市によると「不適切な食事介助」「手順から逸脱したケア」の虐待疑い事案について、院内の虐待防止委員会が検証、改善などの対応をせずに放置したことが、虐待にあたると判断。同委員長を虐待行為者と認定し、9月4日付で県に報告するとともに、同病院に通知したという。

調査を進めてきたのは入院前に患者が居住していた三重、愛知両県の計22市町。県障がい福祉課によると、各自治体の調査はおおむね終了しており、現在は検証段階にあるという。同課の担当者は「全て取りまとめるには時間がかかるので、それより早い段階で行政指導をする見込み」と話した。

鈴鹿病院は神経、筋疾患、重症心身障害の専門医療機関。久留院長は「再発防止に取り組み、信頼回復に努める」とコメントした。