宿泊客の事故に備え 旅館「戸田家」従業員が救護講座

【訓練用の人形を使って胸骨圧迫を練習する従業員ら=鳥羽市鳥羽の戸田家で】

【鳥羽】三重県鳥羽市鳥羽の旅館「戸田家」で10日、従業員を対象とした鈴鹿医療科学大学による「初動救護員養成講座」が開かれた。従業員らが、宿泊客の事故などに備え、心肺蘇生法など応急処置の知識を学んだ。

県内の高等教育機関などが連携し地域のリカレント教育(社会人の学び直し)を推進する「リカレント教育プラットフォームみえ」の活動の一環として同大が初めて開催。同大救急救命学科教授で救急救命士の神藏貴久さんが講師を務め、フロントや客室などの業務を担う従業員10人が受講した。

講座は、客室や食事会場、風呂場での事故など宿泊客の救急救命を目的とした独自のカリキュラムを用意。受講者は2時間の講座を全4回受講し、最終日に試験を受ける。修了者には、同大独自の認定証やバッジが贈られる。

初日のこの日は、応急手当に関する法令や心肺蘇生法がテーマ。神藏教授は、心肺停止の状態でも早急に応急処置を行うことで社会復帰につながると説明し「従業員の応急手当が救命の鍵」と話した。続いて従業員らは訓練用の人形を使い、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の正しい方法やAED(自動体外式除細動器)の使い方を教わり、実践した。

受講したケータリング課の日比将平さん(30)は「専門の知識を学べる機会はありがたい。食事会場で体調を崩されるお客様もいる。慌てず対応できるよう知識を身につけたい」と話していた。

神藏教授は「講座を通じ、お客様は自分たちで助けるという意識を持ってほしい」と話した。