伊勢新聞

ようかん「五色」新発売 伊勢製餡所、創業100周年の節目に 三重

【創業100年を記念して開発した「伊勢ようかん五色」を手にする吉村社長=伊勢市役所で】

【伊勢】三重県伊勢市河崎の老舗「伊勢製餡所」が創業100周年を迎え、節目を記念した新商品「伊勢ようかん『五色(ごしき)』」をつくった。昔ながらの手作業で炊き上げる同社自慢のあんを使った五つの味わいのようかんの詰め合わせ。3代目の吉村弘子社長(54)は「あんづくりは100年の歴史があるが、菓子づくりは新参者。伊勢の新たなお土産になれば」と話す。

伊勢神宮正殿の高欄に装飾されている5色の「座玉(すえだま)」がモチーフ。北海道産小豆を地元宮川の伏流水で炊いた自慢のあんを生かした練りようかん「げん」、京都産の抹茶を使った「みそら」、梅酒を練り込んだ「うめがさね」、焼き芋を合わせた「こはく」、ユズ風味の「しろねり」の5種類を食べきりサイズに包装し、神宮の杜をデザインした箱に収めた。材料はすべて国産、無添加。一般的なようかんに比べ、舌触りがなめらかで柔らかな食感にこだわったという。

100年の節目に、伊勢らしい土産になるような商品を作ろうと、昨年6月から開発に着手した。親交のある服部学園(東京都)の服部津貴子さん、銀座の老舗和菓子店「木挽町よしや」がレシピ開発を手がけ、京都市の「京都羊羹本舗」が製造。あんと食材の味を引き立てるため試行錯誤した。開発途中の2月、先代の父幸雄さんが急逝。一時は計画を断念することも考えたが、思いを受け継ぎ、今月発売にこぎつけた。

同社は大正13年、吉村社長の祖父が松阪市で創業。幸雄さんの代に伊勢に店を構えた。伝統の製法を守り、職人が銅鍋で炊き上げるあんは、県内外の製菓店やパン屋から注文が相次ぎ、人気パティシエからも依頼がある。

吉村社長は「菓子屋にあんを提供するあんこ屋は本来、縁の下の力持ち。黒子でありながら、まじめに続けるあんこ屋が伊勢にあることを知ってもらえたら」と話した。

「五色」は、1箱2200円(税込)。当面は伊勢製餡所の店頭でのみ販売(日曜定休)。問い合わせは同社=電話0596(28)5543=へ。