伊勢新聞

2024年9月10日(火)

▼立憲民主党の代表選挙が告示され、自民党総裁選と相まって世は選挙一色。報道も政局一色で、肝心の裏金問題などはかすみ、世間の関心は選挙の勝敗に移ってきた気配

▼各候補(予定)者の主張がそのまま垂れ流され、個々の適正は影に隠れるのが選挙特有の現象だが、その中で「ブロック太郎」の名称が見出しに躍るのは珍しいのではないか。自民党総裁選に立候補する河野太郎デジタル相が、X(旧ツイッター)で特定の利用者のメッセージを遮断できる「ブロック」機能を首相になっても継続する方針を示した

▼出馬表明した8月26日、キャッチコピーとして「有事の今こそ、河野太郎」と掲げ「国民と向き合う心。世界と渡り合う力」と具体的姿勢を添えた。特定の利用者のメッセージを遮断することと、国民と向き合う心は両立するのかどうか

▼河野氏が一般人をブロックしていることはよく知られるが、見解を問われ「誹謗(ひぼう)中傷が非常に増えてきた。受け止める必要は全くない」。「誹謗中傷」かどうかは河野氏の判断であり、批判には耳を貸さないと言われてきた

▼外相時代、北方四島返還問題に絡み、記者会見で質問を「次の質問どうぞ」を連発して無視したこともある。総裁選出馬に当たり、ブロック解除を模索しているとのうわさもあったが、開き直った形。岸田文雄首相は当初「聞く力」をキャッチコピーにしたが、誰の声を聞いているのか言われ続けた

▼河野氏が総裁になるかどうかは分からぬが、どんな国民と向かい合っているかが問われることになる。