「奥亀屋一慶展」始まる 三重県文化新人賞受賞記念、津の北畠神社ホールで

【作品を紹介する奥亀屋さん=津市美杉町上多気の北畠会館ホールで】

【津】第23回三重県文化新人賞を受賞した作家、奥亀屋一慶(本名・前野一慶)さん(21)=松阪市=の個展が7日、津市美杉町上多気の北畠神社北畠会館ホールで始まった。松阪市の生活介護事業所「まつさかチャレンジドプレイス希望の園」(村林真哉園長)を拠点に制作した絵画など20点を展示している。16日まで。入場無料。14日以外は作家が在廊する。

奥亀屋さんは知的障害があり特別支援学校中等部時代に村林園長の下で制作を始めた。創作の原点は「愛と平和」で、作品は高い評価を受けている。

作家名の「奥亀屋」は、母の文子さん(51)の実家で明治時代まで続いた美杉町上多気のはたごの屋号。受賞記念の個展は「僕の絵を美杉で見せたい」との思いを受け、同神社が協力した。

【拾った空き缶を使ったスーツ=津市美杉町上多気の北畠神社ホールで】

複数の色を組み合わせ、社会の出来事と自身の空想を融合させ描く。ロシアのウクライナ侵攻への感情とレコードから流れる歌謡曲を聞いた思いをミックスさせた「戦うな、恋をせよ!」や、自身が拾った空き缶を全身にぶら下げたスーツがある。

会場は初日の朝から多くの来場者が訪れた。文子さんは「今までやってきたことに美杉の縁がつながり喜んでいる」、奥亀屋さんは「人物を描くのが自分の役目。いっぱいの人に一慶の絵を知ってもらえる個展にしたい」と話した。