▼部活動で体罰をしたとして、県教委が減給10分の1(1月)の懲戒処分とした県立菰野高の硬式野球部監督だった男性教諭は、平成16年10月にも部員への体罰で、文書訓告を受けていた
▼この間、練習試合でミスをした部員に昼食を取らせず、約2時間走らせた。至近距離でノックをし、肘付近にけがをさせたこともある。胸ぐらをつかんだり、「へたくそ」「ばか野郎」などの発言もしていたという。県教委の聞き取りに「指導の範囲だと思っていた」と説明し、福永和伸教育長は陳謝した上で「体罰に対する教員の感度が社会に追いついていない。部活動の指導者に研修を実施する」
▼何をか言わんや、である。県教委が「部活動ガイドライン」を策定したのは平成30年3月(翌年改訂)。部活動は貴重な活動だが「これまでにも過度な指導や体罰等が問題となり」と、体罰根絶が策定の目的の一つとしている
▼指導と称して殴る、蹴るなどの行為や、威圧・威嚇的発言など、人間性や人格の尊厳を損ね否定したりする行為は「決して許されません」として、それらは体罰を受けた生徒だけでなく、その場で目撃した生徒の心にも悪影響を及ぼすと戒めている
▼体罰を「厳しい指導」として正当化してはならないとも。「研修等を重ね、指導力の向上を図る」と定めている。それから6年。体罰教諭が「指導の範囲」と言い、教育長が思い出したかのように「研修を実施する」
▼県教委のガイドラインや運用基準は策定するだけでおしまい。活用したり顧みることはないのだろう。