▼猛暑と迷走台風10号で、地球温暖化を徹底認識した人も多いと思う。が、もう手遅れに近い。パリ協定の目標1.5℃以内は達成不可能。国連の最新の試算では今世紀末までに3.0℃上昇する。日本のメディアは取り上げないが、熱帯地域では「環境難民」が大量発生している
▼とくにアフリカの赤道地域は灼熱(しゃくねつ)と干ばつで人が住める環境ではなくなった。ケニアの首都ナイロビには環境難民が大量に押し寄せ、世界最大級のスラムができている。バングラデシュでも首都ダッカに、毎年約30万人の環境難民が押し寄せている。これらの環境難民はいずれ国境を超えてあふれ出す
▼世界銀行の推計によると、2050年までに世界で1億4300万人が移住を強いられるという。その理由は気温上昇ばかりではない。海面上昇、食料不足なども。実際、インドネシアは水没確実なジャカルタから首都を移転した
▼これまでは難民というと戦争や貧困が原因だったが、今後は違う。日本も温暖化の影響は免れない。人間は大昔から移住を繰り返してきた。定住の方がむしろ非日常だ。日本でもいずれ環境難民が発生する可能性がある。