伊勢新聞

2024年9月6日(金)

▼「コロナ禍前と比べて何%程度へ回復した」「昨年に比べて何%上回った」など、観光客数で比較対象にするのは、コロナ禍前や昨年の、県内の数なので何となく元に戻りつつある気がしていたが、誤りではないにしても、東海3県という視野で見ると最低の水準らしい

▼全国で見ても、外国人観光客数は令和元年比で「回復率」が6月51・4%。都道府県で最下位だった。愛知県が99・2%、岐阜県が91・7%とダブルスコア近く引き離されて、東海3県2市知事市長会議で、一見勝之知事が「この議題を提案するのは恥ずかしいが」。伊勢神宮が鎮座し、伊勢志摩や鈴鹿サーキットなど、全国にとどろく知名度の高い観光資源を擁する我が県が、という意味だろう

▼「もっと多くの人に来てもらえると思うが、宣伝が足りない」という一見知事の分析は職員に責任を転嫁しているようだが、一理ある。昨年6月のG7交通大臣会合で、外国人記者が一人も来県しなかったのは宣伝力の問題としかいいようがない

▼観光戦略課は今年正月三が日の主要21施設の観光客が前年比で2・4%増だったが、コロナ禍前の約7割だったことについて「もう少し増えると思っていた。3日の悪天候や能登半島地震が低下させた可能性がある」。悪天候や能登半島地震が県だけに影響したかの口ぶりだった

▼G7会合については「まさか一人も来ないとは」。五輪ではないが、努力の積み重ねがないところに結果はついてこない。伊勢志摩サミットの遺産を、ものの見事に一過性にしてしまった。