2024年9月4日(水)

▼伊勢湾台風並の台風10号が四国上陸後、自転車並の速度で紀伊半島を北上してくると予測されて県民が固唾(かたず)をのんで見守っていた8月31日、県立松阪高(松阪市)は避難指示が出た多気町内で、保護者向けの修学旅行説明会を開いていた

▼前日からの大雨警報に加え、この日は午後1時過ぎに洪水警報も発表されていたが、説明会は同2時45分ごろまで、避難所である町民文化会館で、余すところなく説明したというからお見事。どこ吹く風ということだろう。時の彼方へ消えていきそうな県のカラ出張問題を、身近に引き寄せてくれる

▼県を揺るがしたカラ出張問題だが、忘れた人も多いかもしれない。出張したことにして裏金としてそれぞれの課でプールし、自分たちの飲み食いなどに使っていた、いわゆる公金横領の総称。課長級以上の職員に一律“返金”させて、一人の責任者も出さずに不問にした

▼そんな県の騒ぎを横目に、県教委はそれから2年間、カラ出張を続けていた。腹黒いとか悪質というより、周囲の上を下への大騒ぎなどどこ吹く風と言え、県教委の体質と言えそう

▼長年続けてきたカラ出張がバレたのは、県の事務執行の正誤を最終的に判断する仕事の監査委員事務局が、平成7年の阪神大震災で全交通網が遮断された時、九州に出張したことになっていたからである。県の不適正な事務手続きが、こともあろうに監査委員事務局から明るみにでたことで、同事務局幹部が精神を病むに至ったが、ある意味、その使命を果たしたと言えようか

▼県教委も。