▼この夏里帰りして故郷を思う気持ちが強くなった人も多いのでは。そこで、「ふるさと納税」欺瞞(ぎまん)について指摘したい。そもそも地方創生のためと生まれた制度だが、その効果はあるのだろうか?
▼総務省によると、昨年度ふるさと納税で全国の自治体に寄付された総額は1兆1100億円余りで過去最多。本県も各自治体に寄せられた総額は約108億円と過去最多。1位が松阪市で約17億円だ。これに対して他県に出た額は約84億円なので県全体としては差引きプラス。しかし、全国には出て行く方が多い(住民税減収)自治体が多数ある。1位は横浜市で約305億円、2位は名古屋市で約177億円
▼つまり、都市部から地方に税収が流れ、それで潤う自治体もあれば減るだけの自治体もある。結局、全国的に見れば全体税収は変わらないのだ
▼しかも、寄付先はふるさととは限らないため、単なる返礼品目当ての通販合戦になっている。となると、人気返礼品のない自治体はますます疲弊する。全国1位の宮崎県都城市は宮崎牛の注文が殺到しただけ。ふるさと納税は、地域間格差を助長するだけではないだろうか。