奇才橘南谿の見聞録紹介 津の久居ふるさと文学館、「医事」など現代語訳 三重

【「黄華堂医話」の現代語訳を紹介する名越さん=津市久居東鷹跡町の市久居ふるさと文学館2階で】

【津】江戸時代の医師で三重県津市久居出身の橘南谿(なんけい)(1753―1805)を紹介する展示「日本中を旅して集めた~世にも不思議な話」が、津市久居東鷹跡町の久居ふるさと文学館2階で開かれている。入場無料。9月1日まで(暴風警報、特別警戒警報のいずれかが出た場合は閉館)。

南谿は久居藩士の五男に生まれ19歳で京都に出て医師となり、全国を歩いて見聞録を著した。医師自らが執刀する解剖を日本で初めて行ったほか、天体観測会を開くなど幅広く活躍した。

同展は地元の歴史を学ぶ久居ふるさと郷土会が開く「久居が生んだ奇才『橘南谿』」の第2弾で、南谿が全国を歩いて記した医学に関わる話の抄録本「黄華堂医話」から、約半数の46項目を「伝説・神話」と「医事」に分け現代語訳した。

「カッパと相撲を取った人は必ず寒熱の病にかかる」とする伝聞もあれば、自身が大嘗会(だいじょうえ)の庭番で「寒さを防ぐのが難しかったので胡椒(こしょう)飯を食べた」「食べた後腹中が温気を感じる様になる」など実体験もあり、内容は多岐にわたる。

約5カ月かけ現代語訳した同会の名越正直さん(59)は「見聞きしたことを的確に記録するだけでなくユーモアがあり読みやすい。南谿さんを多くの人に知ってほしい」と話した。