台風10号から暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、三重県内では29日、各地で大雨となった。道路や線路が冠水するなどして交通機関に大きな影響が出たほか、松阪市の百々川など、3河川で氾濫が発生した。気象台は今後も台風の影響で来月2日ごろまで雨が降り続くとして、注意を呼びかけている。
津地方気象台によると、津市では29日午後0時18分までの1時間で、73・5ミリの非常に激しい雨を観測。29日午後6時までの24時間で降水量が310ミリとなり、8月の観測史上最大となった。
県などによると、百々川は午前9時ごろに氾濫した。午後3時半ごろまでには津市の赤川や伊勢市の小木川でも氾濫が発生。午後6時時点で、住宅などへの浸水被害は確認されていないという。
中部電力パワーグリッドによると、大雨や雷の影響で、いなべ市の約870戸で停電が1時間程度発生した。
亀山市と鈴鹿市は椋川の水位が上昇し、氾濫する恐れがあるなどとして、約2400世帯に避難指示を出した。また、津市や伊勢市、鳥羽市なども避難所を開設。約11万6千世帯に高齢者などへの避難を呼びかけた。
近鉄は津市内で踏切が冠水した影響で名古屋線の一部区間などで一時運転を見合わせた。30日は鳥羽線と志摩線の五十鈴川駅―賢島駅間で始発から終日運休する。
JR東海は29日、紀勢線と参宮線、名松線で午後から全線の運転を取りやめたほか、津エアポートラインや鳥羽市営定期船の一部航路なども運休した。
台風10号は29日、九州に上陸。午後6時時点で長崎県島原市付近にあり、暴風域を伴ってゆっくりとした速度で北北東に進んでいる。中心気圧は985ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートルで、最大瞬間風速は45メートル。
台風が県内に接近するとみられる来月1日から2日ごろにまで断続的に雨が降り続くとみられ、線状降水帯が発生した場合は局地的に降水量が増加し、災害発生の可能性が急激に高まる恐れがある。
30日に予想される1時間あたりの降水量は、いずれも多いところで北中部で50ミリ、南部で60ミリ。同日午後6時までの24時間では、北中部で200ミリ、南部で300ミリ。
予想される波の高さは北中部と伊勢志摩の内海で3メートル、南部の外海で5メートル。気象台は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫、高波などに注意するよう呼びかけている。