伊勢新聞

軽便鉄道の水彩画寄贈 絵画講師・川西さん、津の大井公民館に 三重

【軽便鉄道を描いた寄贈作品について話す(右から)川西さん、伊勢野講師、藤川館長=津市一志町の大井公民館ロビーで】

【津】自由美術協会会員で絵画講師の川西みどりさん(76)=三重県津市森町=がこのほど、明治―昭和初期に旧津市から旧一志郡を走った軽便鉄道「中勢鉄道」の水彩画を大井公民館に寄贈した。同館が昨秋に開いた、同鉄道の軌道自動車(ガソリンカー)の実物大模型の展示を見たことが制作のきっかけ。「当時がよみがえる」と関係者に喜ばれている。

同館は昨年、中勢鉄道の廃線跡を巡る講座をした縁で、天理大学付属天理参考館が製作・展示した段ボール製の模型を譲り受け、参考館の協力で中勢鉄道仕様に作り替えて公開。今春撤去するまでに500人以上が訪れた。

川西さんは自身の住む庄田地域にかつて鉄道が走っていたと聞いて興味を持ち、展示を見学。作品に残したいと思い、当時を記憶する人に聞き取るなどして紳士や子どもを背負ったはんてん姿の女性、3つ編みの女学生などと共に描いた。同館ロビーに昨秋の展示をまとめたパネルと駅名看板のコーナーがあることから、寄贈を申し出た。

模型展示のきっかけとなった講座の講師、伊勢野久好さん(67)は「車体の写真はあるが人が乗る場面は一枚もない。この絵で当時がよみがえる」。同館の藤川ますみ館長(69)は「寄贈は大変ありがたい。小学生の地域学習でも活用したい」と喜ぶ。

川西さんは「絵を描くにあたり多くの方に昔の話を聞き、歴史はつながっていると感じた。当時の皆さんの生活が少しでも見えるといい」と話した。