伊勢新聞

ツキノワグマ「駆除対象」に変更を 三重県知事、環境省に申し入れへ 

三重県内でツキノワグマの出没が多発していることを受け、一見勝之知事は22日の定例記者会見で「保護の対象」となっている県内のツキノワグマを「駆除の対象」に改めるよう、環境省に申し入れることを明らかにした。

県によると、鳥獣保護管理法はツキノワグマの保護を目的に、県内での捕獲を禁止。人身被害の恐れがある場合は捕獲できるが、個体数の管理などを目的とした計画的な捕獲は禁止している。

一方、環境省は今月、40年ぶりに県内で生息数調査を開始した。年度末までに調査を終える方針。県は「早急な対応が必要」として、年内には暫定的な生息数を示すよう国に要望している。

さらに、今後は県内での捕獲を認めるよう、国に法改正を申し入れる方針。絶滅が危惧される生息数でなければ、個体数を管理するための計画を策定することも視野に対応を検討するという。

一見知事は会見で「昨今の事故を踏まえると、ツキノワグマを保護の対象として良いのか」と指摘。「最終的には環境省の判断だが、われわれとしては県民の命を守る必要がある」と述べた。

県内で今年4月以降に確認されたクマの出没は77件。過去最多となった昨年度の40件を既に上回っている。大紀町では今月14日、登山中の70代女性がクマに襲われて骨折などのけがをした。