伊勢新聞

中空アクセス航路に支援を 津市長が要望、知事難色 三重

【一見知事(手前)に海上アクセス航路への支援を求める前葉市長=県庁で】

津なぎさまち(三重県津市)と中部国際空港(愛知県常滑市)をつなぐ海上航路の運営が厳しい状況にあるとして、津市は21日、航路の継続に向けた支援を国に求めるよう県に要望した。一見勝之知事は「(国による支援は)なかなか厳しい」と難色を示したが、前葉泰幸市長は「運輸省出身の知事にとっても、航路がなくなればえらいことになる」と食い下がった。

市によると、コロナ禍前は28万人前後で推移していた津航路の利用者は令和2年度、約2万5千人に減少。その後は回復傾向にあるが、昨年度の利用者も約16万人にとどまっている。

市や県、国は燃料費高騰への支援で令和2年度から昨年度までに計約4億2千万円を補助した。それでも運航事業者の経営は厳しく、船舶補修の基金を取り崩すなどして運営しているという。

要望書は「事業者の経営は非常に厳しい状況」とした上で「津航路は県内で唯一、県と世界を結ぶ海の玄関口。県を支える要衝と受け止め、一緒になって支えてほしい」と求めた。

この日、一見知事に要望書を手渡した前葉市長は津航路について、津、亀山両市以外の利用者が約6割を占めると強調。「ぜひ国に支援を働きかけるようお願いしたい」と述べた。

一方、一見知事は津航路が「離島のように住民の命に関わる航路ではない」との認識を示し、国の支援は「なかなか厳しい。要望はやぶさかでないが、相当な理屈を作らなければ」と答えた。

これに対し、前葉市長は「運輸省出身の知事にとっても、県内の海上アクセス航路がなくなればえらいことになると思う。もう一歩、本腰を入れて取り組んでもらいたい」と訴えた。

市は毎年度、新年度の予算編成に向けた本格的な作業が始まる時期を前に県への要望活動を実施している。この日は津航路への支援に加え、津駅の東西をつなぐ通路を含む駅周辺の整備推進なども要望した。