【尾鷲】三木里地区会・三木里自主防災会は19日、三重県尾鷲市三木里町の旧三木里小学校で、南海トラフ地震臨時情報発表時の避難対応を学ぶワークショップを開いた。明治大の山本俊哉教授(建築学)を講師に迎え、参加者らが防災対応や要配慮者の支援策を考えた。
ワークショップは住民や市職員、福祉従事者など約20人が参加し、災害対策本部や避難所の担当ごとに4班を作った。富士川河口付近で巨大地震が発生し、臨時情報(巨大地震警戒)が発表されたと想定。発表時から2週間後までの現場状況について話し合った。
参加者らは、班内で住民▽要配慮者▽避難行動支援員▽地区会長―などの役割に分かれ、それぞれの立場から意見交換。避難経路や所要時間を色分けして可視化した「逃げ地図」を基に、時間経過とともに生じる状況や課題、本音を付箋に書いて台紙に貼った。
発表時の避難には「坂道が多いから諦める」(要配慮者役)や「健常者は有事の際でも間に合うのでは」(住民役)といった消極的な声が聞かれた。感染症対策やプライバシーの保護、要配慮者の支援体制などの課題を挙げ、避難所生活への不安を口にした。
低地に住む人や福祉従事者からは避難に前向きな意見が多く上がったものの、「常備薬を取りに帰ることは可能か」(住民役)や「風呂に入りたい人もいると思う」(地区会長役)といった、一時帰宅を望む避難者に運営者側が対応できるのか懸念を示していた。
一方、本部は避難所への誘導方法や消防団との連携、二次被害の対策などを検討。被災状況によっては大きな混乱を招くとして、一時帰宅する人に前もって災害情報を共有しておくほか、二次避難の準備を平行して進めることの重要性を訴える声も上がった。
山本教授は「初めて臨時情報が出て、参加者は関心が高まっていた。一人一人が当事者という意識を持ち、取り組んでくれたと思う。引き続き防災・減災対策を考えてほしい」と話した。