カスハラ経験、3人に1人 懇話会の初会合で、三重県が調査結果

【懇話会の初会合で、カスハラへの対応を巡って議論する委員ら=津市栄町1丁目で】

三重県は19日、有識者らでつくるカスタマーハラスメント防止対策検討懇話会(座長=春日修・愛知大法科大学院教授、14人)の初会合を、津市栄町一丁目の県勤労者福祉会館で開いた。労働者の3人に1人が直近3年間でカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けたとの調査結果を報告した。

県によると、調査はカスハラの対策に反映させることなどを目的に、5月下旬から約1カ月間にわたって初めて実施。県内の852社と3779人の労働者が回答した。

調査結果では、労働者の32・1%(1213人)が直近3年間でカスハラの被害を受けた。最も多かった行為は「威圧的な言動」で75・5%。「脅迫や中傷」の59・5%が続いた。

一方、カスハラの対策を実施していると答えた企業は20・5%(175社)にとどまった。実施していない理由の最多は「必要性を感じていない」で、36・8%(215社)を占めた。

懇話会は大学教授や弁護士、経済・労働団体の代表ら14人で構成。カスハラの定義や条例制定の必要性などについて検討し、来年2月ごろにも対策の方向性をまとめる方針。

この日の初会合では、委員から「カスハラの定義やガイドラインがあれば、しっかり対応できると思う」との声が上がった。防犯カメラの設置など、対策への補助を求める声もあった。

一方で「正当なクレームを大事にすることで商品やサービスの質が良くなることもある。消費者が萎縮してはならない」「企業に苦情を言うことは消費者の権利」との指摘もあった。

一見勝之知事は冒頭のあいさつで「お客様は神様という言葉が、客は何をしても良いという誤解を生んでいる」と指摘。「抑止力が必要」とし、過料などの具体的な対策を検討するよう求めた。