伊勢新聞

2024年8月18日(日)

▼南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表に伴う「特別な呼びかけ」の終了で一見勝之知事は「幸い県内で地震は起きなかったが、地震が来なくなったわけではない」。引き続き備蓄品の確認など日ごろの備えを呼びかけた

▼臨時情報発表の翌9日、同情報を「いたずらに恐れる必要はない」として「注意しながら通常の生活をしてほしい」と述べ、質問に答える形ではあったが、わざわざ「普段の生活には観光も含まれる」と付言したのに、宿泊施設に予約のキャンセルが出た

▼「まずは損害の実態を把握したい」と全市町にアンケートをして、結果によっては国に補償を要望する考えを示唆した。コロナ禍が明け、ようやく観光振興に向けて前のめり気味に乗り出した矢先に足元をすくわれる感の臨時情報発表である。いささかの思いがなきにしもあらずかもしれない

▼臨時情報発表に伴い、県民に呼びかけた備蓄品や避難経路の確認も、宿泊施設の状況について特に言及している。気が気でなかったということでもあろう。「まだ夏休みは残っている。ぜひ県内の観光地に来てもらいたい」とその思いがにじむ

▼県は臨時情報発表の8日に設置した災害対策本部を15日に廃止した。職員らは24時間体制で情報収集などに当たった。むろん宿泊施設の情報ばかりではあるまい。防災対策部は、臨時情報の発表に伴う県や市町の災害対応を検証するという。厚生労働省が求めた高齢者施設の非常用自家発電設備の確認など、県民の安全・安心面の状況もしっかり検証願いたい。