▼障害者が働きながら技術や知識を身に付ける就労事業所が今年3~7月に全国で329カ所が閉鎖され、少なくとも約5000人が解雇や退職となっているようだが、自治体別順位は、県の解雇・退職者が290人で、大阪市に次いで2位につけていた
▼障害者の年間解雇者の過去最多は約4000人。基準が違うとはいえ、5カ月で約5000人の数字の大きさがうかがえる。2月に国が収支の悪い事業所の報酬を引き下げるとし、4月に実施したことが主な要因という。施策の目的を一気に白紙にしかねない改訂で「(国の)施策が間違っている」と批判したという愛知県の大村秀章知事にひざをポンと打ちたい心境だが、県はどうか
▼思い起こすのは6月県議会で、平成26年から県総合文化センターに設けている障害者が働けるカフェを12月末で閉鎖すると報告したことだ。障害者のカフェが県内に31カ所となり、松下功一雇用経済部長は、これまでに約16万5000人が訪れたとして「役割を終えることにした」
▼が、雇用環境としては極めてぜい弱なことを就労事業所の閉鎖・縮小や、解雇・退職者の増加が物語ってはいないか。短期間の退職者が多いことはこれまでも指摘されていた。障害者の雇用政策として「役割を終えた」という現状ではないことは明らかだ
▼障害者カフェを定着させることが「役割」ではあるまい。解雇・退職者が全国屈指なことをどう考えるか。「今後は地域のカフェを紹介するイベントを開く」(松下雇経部長)ことが県の役割でないはずだ。