「ここで死んでたまるか」 99歳野原さん、過酷なシベリア抑留体験語る 桑名・三重

【抑留体験を語る野原支部長=桑名市中央町のくわなメディアライヴで】

【桑名】全国強制抑留者協会三重県支部(野原國雄支部長)は11日、桑名市中央町のくわなメディアライヴで「シベリア抑留の労苦を語り継ぐ集い~シベリアの悲劇を次世代に」を開いた。野原支部長(99)=鈴鹿市桜島町=の体験談に70余人が聞き入った。

野原支部長は「極寒のシベリア、粗食の中での重労働~ここで死んでたまるか!」と題して語った。昭和19年に入隊し、翌20年に満州で終戦を迎えた後、旧ロシア軍によってシベリアの捕虜収容所に連行された。氷点下30度の中での鉄道の敷設工事や原始林の伐採など、過酷な労働の毎日だったと振り返った。

また、黒パン1片とスープの粗末な食事しか与えられず、作業中に見つけた木の芽や実を食べて飢えをしのいだ。毒のある草の根を食べて亡くなった仲間もいた。「こんな所で死ねるか」の一念で3年余を生き延びた。復員船から舞鶴港が見えたときは、心の中で万歳を叫んだという。

終戦したにもかかわらず、約60万人がシベリア各地に強制拉致され、飢餓と重労働、疫病などで6万人余が尊い命を落とした。その事実を、生き証人として語ることが亡き同胞への追悼になると、今回が2回目の講演となった。

講演後、同集い実行委員でサクソフォン奏者の一尾郁美さんによるコンサート「届けたいシベリアへ~平和祈念の音色」があり、参加者全員で「異国の丘」などを合唱した。